子供のことは大きな問題だと、私自身、子供の母親である身としては痛感します。とりわけ十歳という年齢を考えると、これから思春期を迎え、ますます難しい年頃に突入する時期ですから、あたなが悩むのは当然です。『源氏物語』でも、光源氏は数え年三十三歳の頃、それまで母方の家で暮らしていた息子の夕霧が数え年十二歳で元服したのを機に、自分の邸宅へ引き取ります。といっても広大な敷地の別の邸宅に引き取るというまでのことですが、満で言うなら十一歳の夕霧は、思春期の少年らしく、 恋に悩んだり、父親の不穏な女性関係に不潔感を覚えたりして悶々としています。また、父親の最愛の妻である紫の上を垣間見て、恋慕の思いに苦しんだりもしています。まして、結婚すれば、同居するであろうあなた方であれば、どんな困難が待ち受けているか。待てるのなら、せめて子供が義務教育を終える年頃になるまで、結婚は控えたほうがいいのではないでしょうか。でもあなたは「辛いけど、彼女との結婚はあきらめて、別れたほうがいいのでしょうか」と迷っている。ということは、好きだけれど、今すぐ結婚できないくらいならあきらめたほうがいいということなのか、それとも子供がいる人とはずっと結婚できないということなのか。いずれにしても、子供が大きくなるまで待つほどには、あなたは今の彼女のことを好きではないのではないかと私は思うのです。だからこそ私は色々、心配してしまうのです。あなたのお気持ちを勝手に忖度して失礼なこととは思いますが、子供が絡むことだけに、慎重になっていただきたいのです。もう一度よく考えて、どうしても彼女と別れたくない、別れるくらいなら「待てる」と思ったら、このままつきあっていったらどうでしょう。別れたくないけど、待てもしないという程度の思いなら、努力してあきらめたほうが、お互いのためだと私は思います。