まず、都合のいい女とはどういう状態なのか考えてみましょう。
　これは相手のメリットになり、自分にデメリットになるようなことばかりをする女性のことを言います。相手のメリットとは、お金をあげる、プレゼントをあげるなどありますが、最終的にはセックスをあげることに集約されます。またはセックスを今現在していなくても、誘えばいつでもさせてくれる状態も都合がいいと言えるでしょう。そして、セックスをさせてあげるときに相手にコストをかけさせない状態、例えばあなたからわざわざ会いに行く。デート代をあなたが負担する。相手の都合のいい日に合わせる。などをしている状態が、都合のいい状態です。さらにあなたにはいろいろとデメリットがあります。他の人を好きになれない。したがって飲み会などへのつきあいが悪くなる。どんどん歳をとっていく。妊娠や性病の危険。精神的に疲れるなどです。そう考えると、あなたは都合がいい状態といえるかもしれません。彼にはメリットばかりであなたにはデメリットばかりです。というのも、彼は遠距離なのであなたは彼の行動を監視することができないからです。あなたの知らないうちに他の女性と仲良くすることはいくらでも可能です。
　ではこんなに都合がいいのに、あなたがこの恋愛をあきらめきれずに2年もひきずってしまっている理由は何なのでしょう。その答えはギャンブルなのです。
　ギャンブルと言えば、私は最近スロットマシンを少々やっているのですが、いわゆるパチスロというものです。ギャンブルは、やればやるほどお金ばかりとられてしまい、結局無駄遣いしているものです。短期間で見ると、何十万円も儲かるときがあるのですが、長期間やっていると必ず負けるもの、それがギャンブルです。そんなことは誰でも知っているのに、なかなかやめられないのです。一万円つぎこんで、当たりが出なければ、2万、3万とつぎこんでしまうのがギャンブルです。そして、最近のパチスロの台は非常に巧妙にできていて、なかなかやめることができないような仕掛けをいっぱい仕込んでいるのです。パチスロは「７」という目を３つそろえると大当たりとなり、たくさんコインが出る仕組みになっているのですが、「７」が３つそろう確率は500分の１くらいなのです。つまり通常、500回スロットを回さなければ当たらないのですが、実際に「777」が当たっても、得られる金額はだいたい7000から8000円で、500回まわすためには２万円近くつぎこまなければなりません。結局、2万円かけたら8000円出るというのがパチスロの基本です。まともに考えたら、お金をドブに捨てるようなもので、これでは誰もパチスロをしようとは思いません。
　そこで、パチスロにはお金をどんどんつぎ込ませるための仕掛けを作ってあるのです。それがリーチ目というものです。 今のパチスロは液晶画面がついていて、大当たりの「777」の目が来るときには、派手なアニメーションがスタートし、「当たりが来たぞ」という演出をします。ところが、大当たりが来ていないときにも「大当たりが来ているかもしれない」ような中途半端なアニメーション演出がたまに動き出すのです。この「当たりをにおわす」ような演出が「リーチ目」です。このリーチ目が多数用意されているために、これが来るたびに「今度は当たりが来たかなあ」「もうそろそろ当たりそうだ」などと期待をふくらませることになります。この期待感が私たちにお金をつかわせるのです。心理学の実験によると、この期待度が50％（当たるか当たらないか半々）のときに、人間はもっとも意欲を出すそうです。これは恋愛にも同じことが言えるのです。それは大当たりが来る確率ではなく、「本命としてつきあってくれる」確率です。男性は多くの女性を確保しようとする本能を持っています。
　ところが、何人とつきあおうが、本命と呼べる女性は一人だけで、それ以外は予備です。ところが、予備の女性には「本命になれるかもしれないよ」という「がせネタ」を流します。そうしないと自分にひきつけておくことができないからです。「がせネタ」には信頼性の高いものもあれば低いものもあります。例えば、誕生日に花束が届くというような「がせネタ」は信頼性が高く、「月に1回電話が来る」などという「がせネタ」は信頼性が低いと言えます。人は信頼性の高いものから信頼性の低いものまで、あらゆる「がせネタ」を使って相手に期待感をもたせ、そして自分に労力やお金をつぎ込ませようとします。これは男女を問わずです。その騙しの手口と言ったら、スロットマシンよりひどいものです。スロットマシンは500回に1回は本当に大当たりしますが、人間の場合、ほぼ絶対に「本命としてつきあう気がない」にもかかわらず、がせネタだけはぽんぽん出してくるからです。
　さて、がせネタを相手に示すのは、それを出す方にもコストや労力がかかることです。
　例えば「誕生日に花束を贈る」などというネタは結構大変なものです。だから、このようなコストのかかるネタほど信頼性が高いわけです。そして当然のことながら、相手が自分から離れそうな時ほど信頼性の高いがせネタを送ってつなぎとめようとします。ホストやホステスは信頼性の高いがせネタを出すのを商売としているわけで、だからこそお客がお金をつかうわけですね。
　反対に、相手が放っておいても自分から離れそうにないときには信頼性の低いがせネタしか出しません。だからここで人間には興味深い法則が生じます。それはモテる男性ほど信頼性の低いがせネタしか出さず、モテない男性ほど信頼性の高いがせネタを出すということです。それは人間の魅力と反比例します。もともとがせネタは相手のこころを自分のほうに向かせるために出すカードなので、魅力が高い人はカードを出さなくとも相手が勝手に自分へ釘付けになってくれるからです。 逆に言うと、最初から「結婚しよう」などというジョーカー的カードを切る男性は、女性に振り向いてもえないことがわかります。それは自分に魅力がないことの確かな証拠となってしまうからです。冷たい男がモテるのは、この法則からするとごく当たり前であることがわかります。それは冷たくしても女性が振り向くほど、その男性に魅力があるという証拠になるからです。
　ただし、モテないにもかかわらず、冷たくしている男性がいます。そういう男性は勘違い男として葬り去られます。また、普通なら自分に絶対に振り向いてくれないくらい、とてもモテる魅力の高い人が、信頼性の高いがせネタを出してきたら、そのときは犯罪が影に潜んでいることを頭に入れておかなければなりません。「がぜネタの法則」に合わない不自然な行動をする背景には、あなたを騙して何かを奪い取ろうという意図が必ず存在するからです。
　では、この「がせネタの法則」をあなたたちの恋愛と重ねて考えてみましょう。
　まず、彼は「月に1度の電話」という信頼性の低いネタを出していたわけです。ところがこのまま信頼性が低いネタばかりを出していくと、あなたが彼に恋愛の労力をかけなくなってくることが予想されます。そこで彼はあなたのこころがどれくらい離れているのか、まだ離れていないのか聞き出そうとします。それが「まだ（ぼくのことを）好き？」という言葉です。あまりにもストレートなので笑ってしまいます。何のひねりもありませんね。 そしてあなたがそれに対して何も答えないので、彼は「これはやばいぞ！こころが離れかけている」と考え、信頼性の高い「がせネタ」を出して来たのです。それが「お前が一番合ってる」という言葉です。あなたはこの信頼性の高いセリフのおかげで「もしかすると大当たりが来るかも」という期待をいだき、今まで2年間も労力を無駄につぎ込んできたにもかかわらず、さらに労力をつぎこもうか？と迷い始めているのです。
　ここで大切なことは、彼というスロットマシンから大当たりを引くことができるか？ということです。大当たりが一生出てこない可能性もあるわけです。もし、このスロットマシンを攻略する時間が無限であるならば、あなたがどれだけコストを無駄遣いしようとも、大当たりを引ける可能性があるでしょう。
　しかし、あなたの若さには期限があり、その期限以内に大当たりを引かなければあなたが破産するというリスクを背負っています。 恋愛というギャンブルは、このリスクがあるからこそ、一か八かのかけには出られないのです。あなたは今、パチスロのギャンブラーになっているのだということを認識しましょう。そして、彼から大当たりを本当に引けるのか？をもう一度考え直してはいかがでしょうか。