サブプライムローン問題に端を発した米国発の世界的な金融危機は、 日本経済だけでなく、男女の恋愛模様にも暗い影を投げかけている。今回登場する谷口さん(34歳・仮名)も、自身の収入が少ないがために、恋愛がうまくいかないと悩んでいる。
働けども働けども収入が増えない現状に、明るい将来図が描けず、 いまひとつ恋愛に積極的になれないのだそう。
「派遣村のニュースとか年末年始にやっていたじゃないですか。ああいうのを見ていたら、他人事じゃないなってつくづく思いますよね。そんなことを考えていたら、先行き不安になって恋愛どころじゃないですもん」
確かに、このご時世、明るい見通しなんて描きにくいのはわかるけど、そこまで悲観的にならなくてもいいんじゃないかな。
「いやいや、僕の年収を知ったら暗くもなりますよ~。ワーキングプアという言葉は、僕のためにあるようなもんです」
谷口さんの職業って?
「一応、弱小メーカーに勤務する正社員ではあるんですけどね」
じゃあ、そんなに暗くならなくてもいいじゃない。このご時世、正社員なのはとっても貴重だよ。
「ただ、収入がねえ。とても正社員の年収とは思えないぐらい低くて……。働けども働けども全然収入が増えませんもん。こんなことじゃ結婚なんて夢のまた夢ですよ」
とはいえ、正社員で一応、安定しているんだから、結婚という点ではそんなに不利だとは思えないけどね。
「いやいや、会社だっていつ潰れるかわからない、吹けば飛ぶような零細企業ですよ。全然、女性にアピールなんかできませんて」
なるほどね~。女性と付き合う時って、やっぱり自分の収入とか気にする?
「そりゃ、しますよ~。学生とか20歳代前半ならともかく、僕もいい歳をした大人ですから、それなりの収入を得たいですよ。今の収入じゃデートもままならないですからね」
まあ、今は多くの人が経済的に楽とは言えないからね。
「いい歳してデートで割り勘なんて恥ずかしいし、彼女に申し訳ないじゃないですか」
その心意気は買うけど、無理をしてもしょうがないし、お互い好きだったら収入の多少なんて、そんなに気にしなくてもいいと思うけどね。
まあ、無職で働く気ゼロだったら困るけど、谷口さんの場合は就職していて、ちゃんとした社会人なわけだからさ。
「いやいや、収入がちゃんとした社会人並みじゃないですから(苦笑)。やっぱり、それなりの収入を得てこそ、初めて社会人と言えると思うんですよ。現状だと引け目を感じて、どうしても恋愛に臆病になっちゃいますね」
う~ん、気にしすぎだと思うけどなあ。
ちゃんと働いていて、少ないながらも毎月きちんと給料をもらえてるんだから、
そこまで引け目に感じる必要はないと思うよ。
それに給料がすくないのは谷口さんのせいというよりも、今の社会状況によるところが大きいわけだからね。
もちろん、結婚に経済的な要素はつきまとうものだけど、それにしても男性の魅力は経済的な部分だけじゃないわけだから、もっと自信を持って女性と接した方がいいと思うよ。
自身の収入を気にして、恋愛に積極的になれない谷口さん(34歳・仮名)。
男性の魅力なんて経済面だけじゃないし、
今の時代、誰しも経済的に楽じゃないわけだから、そこまで収入ばかり気にすることもないと思うのだが、
なかなかそうもいかないようで……。
「やっぱり、男って仕事が一番っていうか、稼いでナンボみたいな感じじゃないですか?」
そうかな?
今は男だからどうこうとかいう時代じゃないと思うけどね。
たとえば、谷口さんの収入が少なくて結婚後の生活が不安なら、稼げる女性と付き合えばいいと思うし……。
「いやいや、そういうわけにはいかないでしょ。女の人に養ってもらうわけには……」
養ってもらうって、そんな大げさな……。
収入はどちらかが多ければいいんじゃないの、っていう意味だよ。
もしかしてお金はぜんぶ、男が稼ぐべき、って考え方なの?
「そういうわけじゃないですけど……。でも、稼いでる女の人でも、自分が稼いでいるから男性の収入は気にしない、なんていう人はあんまりいないじゃないですか?より稼げる男性を選ぶ、というか……」
そうなんだよねえ……。
「でしょう?男の魅力は経済的な面だけじゃないといいつつも、やっぱり収入って女性は気にするじゃないですか。それに、やっぱり収入がある程度あるというのは、男にとって自信になりますよ」
でも、高収入をひけらかすような男性には誰も魅力を感じないと思うよ。
「人にひけらかすような収入に一度はなってみたいですけどね(苦笑)。それは冗談として、結婚するにあたって、男性も女性もすべき準備みたいなものってあると思うんですよ。たとえば、女性は最低限の家事ぐらいはできるようにしておくとか、男性は経済的に安定しておくとか。それを考えると、今の自分じゃ結婚の準備ができているとは言えないわけで、そう考えると恋愛にも積極的になれないんですよ」
確かにそういう準備はできるならしておいた方がいいと思うけど、
結婚は勢いみたいなところもあるからさ。
そんなに堅苦しく考えなくても……。
「でも、経済的に安定もせずにプロポーズするなんて図々しくて、僕にはできませんよ~」
その気持ちはわからないでもないけど、
そこまで用意周到に物事を運ぼうなんて思っていると、結婚はできないよ。
一応、正社員なわけだし、決して経済的に不安定とは言えないよ。
そこまで結婚について真面目に考えているだけでも立派だと思うし。
「そうですかねえ」
そうだよ。それに現実問題として、こういうご時世なんだから、給料もそうそう上がらないわけだし、
転職するにしても谷口さんに、何かすごい特殊技能でもない限り、
飛躍的な収入アップなんて望めないでしょう?
もし収入が増えないと結婚できないと思っているんだったら、
ずっと結婚できないってことになっちゃうよ?
「確かに、そうなんですよねえ。でも、恋愛や結婚を諦めたくないし……」
でしょう?だから、そんなに収入のことだけを気にすべきじゃないと思うよ。
少しでも収入を増やしたいという向上心さえ忘れなければ、女性はそんなに気にしないって。
収入が少なければ共働きっていうやり方もあるし、そこは工夫だよ。
まず、相手と一緒にいたいという気持ちの方が大事だと思うよ。
結婚生活というのは夫婦2人で築いていくものだから、
収入を含めた将来の生活のことは2人で考えていくべき。谷口さん一人が背負うことじゃないよ。
収入のことを必要以上に気にしている谷口さんは、ちょっと自己完結しすぎているところがあるんじゃないかな。
楽しいことも、つらいことも分かち合うのが夫婦なわけだから、
そういう自己完結的なところは、むしろマイナスになるから気をつけた方がいいと思うよ。